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泉 遠望

他誌で紹介された「泉」の俳句

「雲の峰」20201月号(「泉」11月号より)伊津野 均

 

      

いちにちの時分のいろや酔芙蓉

藤本美和子

竹林を過ぎて畳める秋日傘

 

種を採りたる朝顔の赤と青

 

言葉待つ草の穂に風わたりけり

 

堰音の昂ぶるまひる小鳥来る

きちせあや

遠山へ腕組んで涼新たなり

菅家 瑞正

八月の工作室の机かな

長沼利恵子

水底の草のそよぎも雁来月

陽 美保子

日毎夜毎に刈萱の軽くなる

今関 淳子

寝返りの赤子のこぶし初嵐

植竹 春子

蓮の実のとんで匂へる鯉の水

小橋 信子

朝顔の奥の勉強机かな

伊藤 麻美

採血のにぎりこぶしや今朝の秋

長曽美沙子

今日も又芙蓉の角を曲りけり

榎本 榮子

かなかなや精進揚げの茄子その他

三浦れい子

畦蹴つて朝の蝗驚かす

渡辺 里妹

出番待つ闘牛の腹子等さする

荒井 英子

鳥ごゑに朝顔の種こぼれけり

橘 いずみ

瀬を跳ねるかたちに焼ける下り鮎

草刈勢以子

 

 

窗下抄撰集 春の部より

 

木瓜の花たまには己れ許しやれ

綾部 仁喜

春雪は師のこゑとなり降りにけり

石井那由太

先生の遺影と残る氷かな

藤本美和子

 

 

 

 

「燎」20201月号(「泉」11月号より)黒沢一正

 

      

降りみ降らずみ亀の子の足が見ゆ

藤本美和子

ことごとく昭和の本や紫陽花忌

 

存分に河鹿を聴いて先師の忌

きちせあや

蟻急ぐニコライ堂の鐘鳴りて

石井那由太

汐入の川音遠しあとずさり

植竹 春子

子燕の尾の見えてゐる寿

高野美智子

闘牛の残り三番雨激す

取違 憲明

祭来る生簀に水をあふれさせ

板本 敦子

昼飯を食ふや昼顔ふたつ咲く

大林 保則

 

 

 

 


「栞」20201月号(「泉」11月号より)    室井千鶴子

秋蟬のこゑのかさなる妣の国

藤本美和子

サフランのうすむらさきの喪服かな

 

奔放な案山子の村に水うまき

きちせあや

まだ暮れぬ蔵王を簾名残かな

井上 弘美

遠山へ腕組んで涼新たなり

菅家 瑞正

一歩ごと踊るはつしと両手打ち

大坂 黎子

蓮の実のとんで匂へる鯉の水

小橋 信子

ひよつとこの差し足白し秋祭

高野美智子

槻の木は雨よせつけず法師蟬

小山 草史

膝頭抱きをる雨の地蔵盆

山梨 菊恵

花葛のしだれ大山古道かな

長曽美沙子

泉撰集第七輯より

 

先生のこゑよくとほる冬泉

藤本美和子



「汀」20201月号(「泉」11月号より)土方公二

泉撰集窗下抄より

本館を出て分館へ春の雨

藤本美和子

狼の護符が一枚水温む

 

山巓を雲離れゆく二日灸

 

蝦夷松の奥に日の射す猟名残

 

三寒の四温となりし死者のかほ

 

先生のこゑよくとほる冬泉

 

あはうみの暮れのこりたる膝毛布

 

みづうみにゆふべが近し寒蜆

 

立春の真水に沈む豆腐かな

栗田智恵子

花冷えの人を降ろせる人力車

菅沼 昌子

制服の紺の八十八夜かな

辻   純

一月の富士に対へる肩車

石井那由太

堰音の一途に夏に入りにけり

きちせあや

片蔭の身幅ほどなる城下かな

菅家 瑞正

今朝秋の糶台を打つ尾鰭かな

板本 敦子

高円寺純情商店街薄暑

橘 いずみ

大学に馬術部のある朴の花

髙橋 靖子

まつさらな軍手を下ろす遅日かな

岡野 由次

オルガンに十指ひらけば日脚伸ぶ

長沼利恵子

存分に雲雀よ揚がれ鎮魂

陽 美保子

三線と三板の音に夜のつまる

陽 美保子

翡翠のつつこむ水の尖りけり

久志本宏子

水替へてしばらく目高泳がざる

渡部 里妹

白鷺の離れて降りる夕刈田

田中 亘代

鬼の子の身をのり出せる槇の風

土橋 モネ

蝌蚪の紐水が古びて来たりけり

古津ミネ子



「運河」2019年7月号(「泉」5月号より)

春濤を見るため畳む傘の骨

藤本美和子

啓蟄の砂のこりたる虚貝

 

春分の土養生の巻脚絆

 

均さるる畑の土や小鳥引く

 

点滴の一滴づつの春の影

きちせあや

魚屋が荷を解きをり春の雪

秋山てつ子

方丈に人影動く百千鳥

長沼利恵子

紅梅の一枝が近し抱朴子

陽 美保子

もどかしき長さなりけり蝌蚪の紐

今関 淳子

白梅に日の上りくる産衣かな

植竹 春子

空匂ひけり花種のひとつまみ

小橋 信子

雛壇の奥の電話がなりにけり

佐藤 順子

鷹化して鳩となりたる磁北線

取違 憲明

啓蟄のとさか震わせ烏骨鶏

伊藤  

草餅や旅の途中の雲ふたつ

田中 亘代

紀の国の空を仰ぎて流し雛

大西紀久子

一輪の椿が浮かぶ足湯かな

上野ノエル

潮入りの波のまぶしき初ひばり

草刈勢以子

                   

 
「門」20169月号(「泉」6月号より)

山蟻の吹かれ歩きの穀雨かな    藤本美和子

柳絮とぶ鳩の羽裏が眩しくて

薇の惚け立ちたる槌の音

五寸釘浮くや地獄の釜の蓋

まつさらな敷藁踏んで植木市    きちせあや

青踏の朝の風をいただきぬ     井上 弘美

まんさくの花のまはりの静寂かな  辻   純

雲雀野に来て白髪をふやしけり   石井那由太

「ランブル」20166月号(「泉」3月号より)

雪折の枝の蕾の紅きこと      藤本美和子

不動明王御前の寒鴉

木々の名のひとつひとつも寒土用

酢海鼠を嚙み富士山の近く見ゆ

餅搗の炎ばかりを見つめをり    ちきせあや

正月の凧みづうみの風を得て    井上 弘美

元朝の足音山のあなたより     辻   純

枯菊を束ねたるまま焼べにけり   菅家 瑞正

見なれたるものの中なる年あらた  柴崎 七重

枯草のひとかたまりの流れ出す   岡野 由次

小吉を引いて鯛焼買ひにけり    石井那由太

のつけから予後を問はるる初電話  高野美智子

ばば抜きのばばは我が手に日脚伸ぶ 今関 淳子

のぼりゆく正月凧の目玉かな    植竹 春子

平成の世といふにあり寒卵     笹尾 照子

仁王像塗り替へられて寒波急    山本 恵子

さまざまに旅せし年も初昔     陽 美保子

鷹槊の鷹の窺ふ彼方かな      小山 草史

冬蝶のガラス戸に濃き影をおく   中込 征子

札納め宮司の猫が鳴きにけり    松宮京生子

亡きひとの表札に来る雪婆     伊藤 麻美

拳玉の玉のよく乗る日向ぼこ    上野 修誉

クリップのカーブ一碧楼忌なり   板橋 麻衣

枯すすむ菊のもつとも揺れにけり  山梨 菊恵

マスクして仰ぐ双子座流星群    田中 亘代

真つすぐに鳶降りて来る初荷舟   坂本たか子

秤より転げ落ちたる寒海鼠     国谷 耕川

「澤」201512月号(「泉」9月号より)

吊つて売る亀の子束子やませくる  藤本美和子

石段の蹴込の高き梅雨入りかな

松蟬のこゑの響ける傘の骨

夕空の透けてゐるなり葭簀張り   井上 弘美

畳屋の広き間口や燕の子      菅家 瑞正

試歩けふも青猫じやらしひと握り  岡野 由次

みなつきの樹の間に濡れる子どもかな 藤本夕衣

蚊遣焚く日の暮は父母在るやうに  神戸 サト

木刀の素振りの触れて立葵     松宮京生子

あめんぼうしきりに池を均しけり  田中 亘代

水筒の水の甘さや青嵐       中込 征子

夏夕べ帽子に森の匂ひかな     坂  泰子

初もぎの胡瓜の反りや朝の卓    長谷川 稔

側溝に転がる梅の青きこと     吉田 文子

梅雨晴れ間牛の涎が吹かれ飛び   小山 草史

打ち伏せるほどに吹かるる野萱草  佐谷 文子

「門」201410月号(「泉」7月号より)


初鰹もたらせし子がそこにをり   綾部 仁喜

母の日の妻の記憶のはや忘れ

看護婦が山見て言へり端午の日

子燕のなかの一等おほき口     藤本美和子

緑蔭の映る眼鏡を外しけり

青嵐かうもり傘の骨の数

草笛を吹くまへのかほととのへて

啄木の年譜にあたり明易し

余花残花不浄門より出でにけり   井上 弘美

つくづくと欅を仰ぎ新社員     辻   純

かはせみの一閃とほす水ぐるま   石井那由太

摘草の篭ごとすすぐ谷の水     秋山てつ子

振り込んで夫の新茶へとろみ剤   古津ミネ子

筍を茹でゐる今出川小路      長沼利恵子

囀りや「泣いたつてママこないのよ」藤本 夕衣

しろがねに乾きゆくなり甘茶仏   伊藤 麻美

遺されし鋏ひかりて蝶の昼     松田 ナツ

啄木忌夫とたしなむ酒一合     鈴木 のぶ

羽衣の松のみどりや鳥雲に     栗田智江子

松の芯日の丸ひと日はためかせ   橘 いずみ

「雪解」20147月号(「泉」4月号より)

春雪の夥しきを見て病める     綾部 仁喜

二月来る細川紙の手触りに     藤本美和子

天領の風颪しくる楮刈る

干板に漉き紙の滓匂ひけり     小山 草史

紙を漉く恋知りつくす指をもて   横山 悠子

ひよどりに鴉応ふる春隣      辻   純

「秋麗」20147月号(「泉」4月号より)

入院十年に及ぶ

生涯の一室として春蚊飼ふ     綾部 仁喜

春の蚊や深追ひもせず搏ちもせず

二月来る細川紙の手触りに     藤本美和子

囀りの木となりきつて仰がるる

ひよどりに鴉応ふる春隣      辻   純

天の風地の風楮干しにけり     石井那由太

一山を離れぬ鳶や午まつり     秋山てつ子

利休忌の素焼きの碗の掌にかろき  平松 久子

鳩の畝雀の畝や冬菜畑       志田 富子

黒船の伊豆の下田の目刺かな    中村 吉香

「雲の峰」20147月号(「泉」5月号より)

いつまでも痰鳴る咽よ梅遅し    綾部 仁喜

暖かや目玉の奥のほの痒く

啓蟄のいよいよ一人暮らしかな

入浴に搬ばれてゆく暖かし

住職の橋わたりくる桜どき     藤本美和子

一舟と擦れちがひたる花の闇

極上の空をたまはる鴉の巣

松籟の真下なりける花筵

うしろ手に持てる包みやお中日   きちせあや

あをぞらや緋絨蝶の生まれたる   井上 弘美

少年の全力走や建国日       辻   純

梅林の卍の径や行き戻り      菅家 瑞正

ひといろの桃の花売る八百屋かな  青木 勝枝

濡れゐたる竹の切口西行忌     秋山てつ子

道端の芥の赤き雨水かな      今関 淳子

足跡のこはれてゐたる霜柱     植竹 春子

「空」20138月号(「泉」6月号より)

人が来て人が帰りて夜の桜      綾部 仁喜

窓ふさぐ藤襖など癒えがたし

寝そびれてゐる一床の朧かな

幼子の手足に触れて春惜しむ     藤本美和子

草原におくわが影も春夕べ

鏡面の奥のつめたき青葉木菟

白雲のふくるる早さ松の芯      きちせあや

噴水のしづかに高さ失うへり     井上 弘美

落ち枝を眼下へ投げて春の山     菅家 瑞正

永き日の空へ抜けたる竹の音     石井那由太

すこしづつ水の動きてあたたかし   今関 淳子

耕して畑一枚造りけり        大坂 黎子
夫発病

いまいちどふり返りみる春の海    陽 美保子

啓蟄や漬物石に裏表         池田 蕉子

乾杯のやうに持たれてチューリップ  伊藤 麻美

しばらくは花の色なる校舎かな    橘 いずみ

「舞」20137月号(「泉」5月号より)

ストックは房州の花藍深し      綾部 仁喜

若者と波郷を語る椿かな

新しき紙風船の小舟持つ

母の忌や桜蘂ふる水の上       藤本美和子

朧夜の軸も茶釜も遺品にて

雨筋の刺し貫ける花篝        井上 弘美

啓蟄のふたつ目の鍵かけにけり    辻   純

春動きけり靴紐の蝶結び       小澤 慶子

笊を干し俎を干し冬うらら      池田 蕉子

海女畑のトタン囲ひの金盞花     前川 澄子

石狩やとんびが統べる雪解原     鈴木 のぶ

たまはりし一語の力牡丹の芽     野崎たつ子

落椿掃くころあひを計りをり     大友 三夫

畦焼の匂ひの他は昏れにけり     三上かね子

傾ぐ畑傾ぐ男の打ちにけり      取違 憲明




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